2007年に建築基準法が改正され、家全体を効率的に24時間(常時)換気できる換気扇の設置が義務化されました。
気密性・断熱性が高まった現代の家は、冷暖房効果や防音性が高く、よりプライバシーが守られるようになったものの、密閉度が高くなったことで室内空気が外に排出されにくくなっています。
しかし、十分な換気が行われないと、CO2濃度上昇による集中力低下・カビ発生による建材劣化・ハウスダストによるアレルギー疾患などを引き起こす可能性があるため、換気扇を利用した定期的な換気が推奨されているのです。
1. 第一種換気
給気・排気ともに機械で強制的に換気を行う方法で、確実な給気と排気が可能。
室内圧力を任意に設定でき、空気の流れも制御しやすく戸建から集合住宅まで、さまざまな場所に適しています。
2.第二種換気
給気は機械、排気は排気口やすき間から自然に行う方法で、室内を正圧に保ち、他の部屋からの空気侵入を防止します。
手術室や食品を扱う工場など、外部からの雑菌・ホコリの侵入を防ぎたい場所などに適しています。
3.第三種換気
排気は機械で強制的に行い、給気は給気口やすき間などから自然に行う換気方法で、他の部屋等への汚染空気の漏れを防止します。
トイレや浴室など、臭気や湿気を含む空気が発生する部屋の換気に適しています。
まず、換気扇を選ぶ際には「随時換気」「常時換気」どちらが必要なのかを考えてみましょう。
随時換気は厨房でガス器具を使用したり、浴室を入浴後に乾燥したりと“必要な時に必要な量”を換気する方法のこと。
常時換気は、24時間連続して換気を行う方法。建物全体を換気したい場合に適用され、小風量で換気します。
用途や設置場所、空間の大きさなどに応じて、必要な換気量となる「必要換気量」を以下の公式に当てはめて求めましょう。
“必要換気量(m3/h)=対象となる居室の容積(床面積×天井高さ)×0.5”
例:床面積80㎡、天井高さ2.5mの住宅の場合
必要換気量(m3/h)=(80×2.5)×0.5=100(m3/h)
上記の場合、100m3/h以上の有効換気量(風量)を出す換気扇を選定しなければなりません。
一般に換気性能を測るポイントとしては、以下の3つが挙げられます。
これらは換気扇のカタログなどに「基本特性」として記載されているので、購入前に必ずチェックしておきましょう。
1.風量(m3/h)
ファンが単位時間あたりに移動させる空気量のこと。
カタログに記載されている風量は“製品単体”での能力を表しており、実際に施工された場合にはダクトやパイプなどの配管、屋外フードなどの抵抗(圧力損失)が起こるので、実際の風量とは異なります。
あくまでカタログに掲載されている風量は「カタログ値」で、「有効換気量」が実際の風量だと考えましょう。
なお、建築基準法では上記の有効換気量が計算のベースとなります。
2.静圧(Pa)
流れに垂直な面に空気が及ぼす圧力。風路抵抗(圧力損失)に対抗して空気を動かすエネルギーのことをいいます。
換気扇における静圧は、高ければ高いほどダクトにかかる力が大きくなり、換気風量も少なくなっていきます。
3.騒音(dB)
換気扇をつけている間は、可動音が発生します。
この時の音の大きさをカタログなどでは「騒音」としてdB(デシベル)で表示しています。
カタログ値は無響室にて測定していますが、実際の運転音は周囲の闇騒音(一般的に発生している騒音)、反響音、運転状態などの違いによりカタログ値より大きくなります。
換気扇は、おもに「プロペラファン」「シロッコファン」「ターボファン」「斜流ファン」「クロスフローファン」の5種類に分けられます。
それぞれの特徴を見てみましょう。
その名の通り、プロペラのように回って換気をしてくれる羽根が「プロペラファン」です。
ダクトを通さずに直接屋外に排気を行い、屋外に面した壁にしか取り付けられないため、戸建住宅のキッチンなどによく取り入れられています。
圧力は必要とせず、多くの風量がほしい場面に向いています。
羽根が表に出ているプロペラファンと違い、筒の中に羽根が付いていて回し車やタイヤに似たフォルムの羽根が「シロッコファン」です。
ダクトを通じて吸い込んだ空気を屋外へと排出し、ダクトを設置しないと排気ができないアパートやマンションなどの集合住宅によく採用される換気扇の羽根で、「多翼ファン」と呼ばれることも。
屋外と接していない部屋にも設置が可能で、狭い空間でダクト排気をする場面に向いています。
見た目はシロッコファンに似ていますが、羽根が幅広で枚数が少なく、後ろ向き・斜めに付いているのが「ターボファン」です。
シロッコファンよりも回転が速いため風圧が強く、換気効率が高い反面、回転音がかなり響くことがあります。
軸方向から空気を吸い込み、軸の斜め方向に圧力を与えて、軸方向に空気の出口を変えて送風する構造の「斜流ファン」。
小型で軽量なので、モーター用の冷却ファンとして使用されることも。
換気扇としては、風量・風圧を程度必要とする場面に向いています。
羽根車の一方の半径方向から吸い込み、直角程度の半径方向から送風するのが「クロスフローファン」です。
圧力はそこまで強くないですが、均一な風量をキープしやすく、噴出し口の長さを調節できます。
「横流ファン」「ラインフローファン」と呼ばれることも。
換気扇の交換を行う際には、同じメーカーや型番のものを選べば問題なく交換できます。
しかし、汚れや劣化がひどく商品の情報が確認できない場合は、上項の「おもな換気扇の種類」を参考にして、設置されているファンと同じものを選び、同じサイズの換気扇を選びましょう。
まず、換気扇のサイズを測るときは周りの枠ではなく、羽根の直径のサイズを測りましょう。
換気扇を取り替える時に枠のサイズを測ってしまう方が多いのですが、枠のサイズではなく羽根の直径を測ることがポイントです。
一般的に、キッチンに設置されているプロペラファンの換気扇の場合、羽根のサイズは25cmか30cmであるとされています。
シロッコファンの場合は、横幅が60㎝・75㎝・90㎝のものが主流です。
ここからは、比較的自分でも交換しやすいプロペラファン換気扇の交換手順をレクチャーします。
1.換気扇のコンセントを抜く。
コンセントをつけたまま交換をすると危険なので、必ず確認しましょう。
2.換気扇カバー・ファンキャップ・プロペラを外す。
油汚れなどで手が滑らないように気をつけてください。
3.換気扇を固定している金具を外し、換気扇本体を壁から取り外す。
まれに金具を外さないまま外そうとする人もいるので気をつけましょう。
4.新しい換気扇の本体を取り付ける。
サイズが合っているかを確認します。
5.電源コードの長さを調節する
必要であればコードの長さを調節するといいでしょう。
6.本体にファンとファンキャップを取り付け、電源を入れて動作チェックをする。
7.換気扇のカバーをつけたら、交換完了!
プロペラファンタイプの換気扇は、他のファンと比べても構造がシンプルで細かいパーツが少ないため、ファン(羽根)のサイズさえ間違えなければ自分で交換するのもそう難しくないでしょう。
しかし、天井埋め込み型の換気扇やフィルター搭載型の換気扇は複雑な形のものが多く、交換が難しいケースがあります。
こういった場合は、無理に取り替えようとせず業者に頼んだり、換気扇購入前に交換方法を販売店にあらかじめ問い合わせたりしておくことをおすすめします。
ここからは、電材堂がピックアップしたおすすめ換気扇をご紹介していきます!
同時給排気形でお部屋を快適換気できるシロッコファンタイプの換気扇。
アンダーカット※の取れないお部屋にピッタリです。
機種選定不要で、お部屋の大きさに合わせて内部スイッチを切り換えられます。
運転音わずか16dBの静音設計なので、24時間換気していても気になりません。
※ドアの下にある隙間。換気効果がある。
●質量(kg):2.3
●2モーター・2ファン
●付属品:木ねじ(Φ5.1×32L)×4本、二層管(φ96×255)×1本
●価格9,922円(税込)
標準タイプのプロペラファン換気扇。
教室・店舗・事務所への設置がおすすめです。
羽根の「ワンタッチ着脱方式」を採用しているので、簡単に交換できます。
●サイズ(mm):高さ360×幅320×奥行134
●質量(kg):3.2
●セット内容:本体、固定金具×2個、取付ネジ×4本
サイレントクリーンファンを採用し、業界トップクラスの大風量・低騒音※を実現した換気扇。
羽根が簡単に外せるので掃除が簡単で、水洗いもできるので換気扇をキレイに保てます。
また、モーターの小型化により、従来品より薄い壁に取り付け可能に。
トイレ・洗面所・居間用など、幅広いシチュエーションで活躍します。
※接続ダクト径φ100mm、プロペラファンを搭載した0Pa時風量が80cm2/h以上の商品において(2021年2月1日現在東芝社調べ)
●開口面積(cm2):111
●質量(kg):0.5
●付属品:木ねじ×4本、クッション×1本
そのほかにも、電材堂ではさまざまなシチュエーションに合う換気扇を多く取り扱っています。もっといろんな換気扇を見てみたいと思った方は、ぜひ公式サイトの「換気扇」カテゴリをチェックしてみてください。